矢沢永吉 野外スペシャルライブ
TONIGHT THE NIGHT!
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EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR 1999 LOTTA GOOD TIME


16番目の台風が日本列島を縦断した夜、YOKOHAMA。

風が吹く。次々と流れゆくちぎれ雲の隙間から夕陽がのぞく。 橙い陽に照らされ乱反射するインターナショナルスタジアムは まるで荒野の未来聖堂のよう。光と影、力強さと優しさと。 彼は天候ですら自らコントロールしてしまう。 TONIGHT THE NIGHT! 彼に相応しい舞台は今まさに整のった。 * * * * * * パンク全盛の80年代前半、キース・リチャーズは、自分達と同じ名を持つ 雑誌のインタビューで若いバンドマン達にメッセージを一言と言われこう語った。 「50になっても60になっても今のパワーでR&Rしてみせてくれ。 そん時は話し相手ぐらいにはなってやるよ。」 今日の主役である彼自身もソロとして独立した頃こう語っている。 「50とかになって白髪頭になっても腰振ってR&R演ってたいよね、ほんとマジで。」 前日、彼はその歳となった。そして自らの言葉に従い今宵ステージに立つ。 証人となるべく老若男女50,000人のオーディエンスが集う。 私も1/50,000、彼女も1/50,000、みんな1/50,000。 * * * * * * 定刻からおよそ20分遅れ。フォークロアのような讃美歌のようなBGMの中、 スタンド上段に広がるキャンドルサービスが終わるとステージ中央にピンスポット。 ごく自然に、ごく普通に、ギター片手に彼が登場する。 オープニングからギターを持つことは極めて珍しいことではないだろうか。 少なくとも過去私が観たライブでは記憶に無い。そんな彼がこの特別な夜の オープニング・ナンバーに選んだのは「ラスト・シーン」。 始まりは常に何かの終わりであって、終わりは常に何かの始まり...ということか。 MC無しで5曲連発。 5台の大型プロジェクターが様々な角度からなめまわした映像を映し出す。 嬉しそうな、楽しそうな、気持ち良さそうな、50オヤジのアップがそこにある。 「I feel COKE!コークが好きだ!」 懐かしいCMフィルムに若かりし彼が映しだされる。 美しく懐かしいそのメロディーは昔も今も変わらない。 変わったのはリーゼントを捨てた短髪。そして声。 艶がでたと感じるのはけっして気のせいだけではないはず。 若い頃のフィルムがさらに続く。ソロデビュー直後のものだろう。 曲は「恋の列車はリバプール発」。イカしたラブ・ソング。 「若い〜!今日はこん時のオリジナルメンバー、おんなじアレンジで 24年ぶり?21年ぶり?に演ってみますんでヨロシク!」 高中正義、高橋ユキヒロ、後藤次利、今井ユウ、相沢秀行、木原敏雄。 かつてのファミリーが次々とステージに登場する。 昔のフィルムとなんら変わらぬ演奏。 そしてこの1曲のみでステージを降りるファミリーの面々。 彼らからのバースディプレゼントはなんと粋でなんと贅沢なんだろうか。 気づいたこと。 いつもそこにあるはずのディレクターチェアがない。 神々しいほどにネームロゴを染め抜いたあのチェアがない。 背もたれにトレードマークともいえるタオルをかけたあのチェアが無い。 これからも走りつづけるという意志表示なのか。 新譜から「風の中のおまえ」。 歌詞通り、いつのまにかのドシャブリでステージの彼もアリーナもズブヌレ。 素肌にジャケット。定番スタイルの彼はジャケットをはだかせて、 火照った体躯をドシャブリシャワーにさらす。 鍛えられた歳不相応なその裸体にジェラシーを感じてしまう。 夢の時間は過ぎ去るのがはやい。 エンディングに向けてすすむステージ。 スタンドいっぱいのナイアガラ花火は、キャロル解散の夜、 THE LAST IN HIBIYAへのオマージュなのか。 そして、、、 日本で一番美しいラブ・バラッドのイントロが流れだす。 「I LOVE YOU, OK?」 心のこもった唄声がスタジアム全体をに染み込んでゆく。 間奏が終わる。が、続くメロディに彼の声が重なってこない。 Shooting the BOSS. 数十台のキャメラが容赦無く彼の顔を撃ち抜く。 震える頬と、眼に光る涙。1/50,000が1/1となった瞬間。 この一瞬のために彼は走り続けた。この一瞬のために彼を追い続けた。 しかし、この一瞬は単なる通過点にしか過ぎない。 RUN&RUN。 これからも走りつづける。彼も僕らも.... * * * * * * 「みんな、今晩はうっまいビール飲んでって。ヨロシク!」 「止まらないHA〜HA」から「トラベリング・バス」へと続く 色鮮やかなタオルの群舞が終わると彼は最後にそう言ってステージから消えた。 彼の言葉に従い、帰り道僕は3杯のビールを飲んだ。 彼女も珍しくアルコールを口にした。 それはウイスキーコークではなかったけれども。 Hey TAXI! 帰り道のタクシー。飲む前からすでに酔っていた僕と彼女は、 久しぶりに互いの体温を感じながら眠りに落ちた。 彼のラブ・ソングに包まれながら..... * * * * * * * * * * * * って風にイカした(れた)感じで書こうかなーって思ったんだけど、やっぱしダメだわ。 どんな言葉ならべてもそんなの全部ウソっぽいんだよね。 でも、これは誰が書いてもそーなの。どんな言葉ならべてもYAZAWAのことは語れない。 ウソだと思ったら、雑誌とかでプロが書いた文章がでてるから読んでごらん。 ウマイ、ヘタはあるけど、基本的にはおんなじ。 ホント理由とか理屈じゃないんだよね、矢沢永吉ってのは。 このカッコ良さは、もーどうにもこーにも説明できない。 すべては「だってYAZAWAなんだもん!」って言うしかないんです。 ホント素敵な夜でした。



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