宮古島近海トローリング&グルクン釣りレポート
    釣行日 9/ 7(月)
    船宿宮古島下地漁港 漁船をチャーター
    釣り物近海トローリング(マグロ、カツオ、サワラ)&サビキ(グルクン)
    料金仕立 \30,000(道具一式、サビキ用コマセ、弁当付)
    釣り場トローリング:宮古近海(来間大橋〜東平安名崎)沖合300M〜1000M
    グルクン:来間島沖水深25〜30M
    天候曇り一時晴&瞬間雨
    おだやかな凪、大潮
    タックル トローリング:トローリング用ロッド、NFTかかり竿300−120号、ダイワ大型両軸リール
    グルクン:240−30号ロッド+中型スピニング
    ※船で借用
    仕掛けトローリング:
    ヒコーキ+ダブルフックwithタコベイト(赤、青、白)3本仕掛
    大羽イワシ様ルアー20cm/赤イカベイトルアーいずれもダブルフック
    グルクン:
    ロケットカゴ+市販グルクンサビキ
    ※船で借用



    9月1日

    宮古島を訪れるのは今回で3回目となる。過去2回は、いずれも陸っぱりだったので今回は是非、船釣りを体験したいと思っていた。
    過去、船釣りができなかったには訳がある。ひとつには向こうに乗合船というシステムがないということ、つまり船釣りを楽しむには仕立るしかないのだが、これは1日8万〜15万くらいかかるため私1人ではちょっと...というよりかなり厳しい。
    なんとかしたいと思い、出発前にいろいろ調査&相談したところ、昨年訪れた際にもレンタカーを借りたすなかぎレンタカーさんから1日料金3万円、1名でも出船できるよう調整してくれるという嬉しい返事がもらえた。釣り物は近海でトローリング、沖釣りでグルクン釣りとの事。出船日は島にいってから相談することにした。

    9月3日

    宮古島上陸。メールでやり取りしていたすなかぎレンタカーの長浜さんが、予約しておいた車をもって空港にもってきてくれていた。釣りの手配は社長がしてくれているとのことで後日、営業所に訪れ相談することにする。

    9月4日

    宿泊先に隣接する場所にある営業所に社長を訪ねる。宮古島はちょうどお盆(旧盆)にあたるため盆明けにしようということになり出船は7日に決まった。社長も一緒に船にのってくれるとのこと。「トローリング中心にやって帰りにちょっとグルクンでもやりましょう。時間は6時間程度でいいですよね」との話しにワクワク。料金も約束通り3万でOK、道具も貸してくれることを確認する。

    9月7日

    当日。前夜の雷雨で天候が心配されたが風もなく沖合いはおだやかそう。約束の8時に営業所にいく。社長の運転で来間大橋(日本一長い農道)そばの入り江の港に向うと船長はすでに出船の準備をしていた。挨拶し、再度社長の車で弁当や氷の調達にいく。ほどなく船頭も到着。泳がせ用の手釣り仕掛けを無造作に空ペットボトルに巻いたものを片手にぶらさげている。かっこいー、渋すぎるー。
    船頭、船長、すなかぎの社長、仲乗り仕事兼コック長のまゆげさん(失礼、お名前を失念してしまいました)、私の5名で9時半頃港を出船。
    入り江をでたとたん、
    「えっ、いきなりー」ってかんじで社長に舵をまかせた船長がトローリング仕掛けを流しはじめた。どうやらこの辺では海すべてがポイントらしい。仕掛けは、私が座った左舷側がヒコーキの先にタコベイト付きダブルフックの3本針。社長の座る右舷側は大羽イワシ風ルアー(これもダブルフック)を50mほど流す。
    船はリーフ沿いに東に走らせる。上野ドイツ村、宿泊先のホテルブリーズベイマリーナをすぎインギャーマリンガーデンとホラガービーチの中間くらいの沖合いで私の方の仕掛けに一回目のアタリらしきもの。リールを巻いてくるが水の抵抗しかかんじられない。どうやらちゃんと食っていなかった模様。再び仕掛けを投入。東平安名崎沖まできたところでUターン。太平洋と東シナ海の境にあたるこのあたりは職漁師の好漁場との事。来た道より沖合いを流しながら戻っていくと、ほどなくイカベイト側の仕掛けにアタリがでる。トローリングロッドが2度ほど絞り込まれリールが逆転する。しかし、あたりはそれっきり。おそらく遊ばれただけだろうということでそのまま流す。

    なかなかヒットしない...1度小さな鳥山に遭遇し近辺を何度も蛇行するもノーヒット。とうとう当たらないまま、来間島沖まで戻ってきてしまった。
    あまりのヒットの少なさにここでトローリングは一旦あきらめグルクン釣りに変更しようということになった。仕掛けを回収してみるとイカベイト側の仕掛けのワイヤハリスがスッパリと切れておりフックが無い。さきほどのアタリの時にやられたのだろう。これじゃヒットしようもない。
    「サメですかねー?」船頭にたずねると、
    「ベイトの足とかはいたずらされてないからおそらくマグロか大きなガーラだろう。30キロとか40キロとかいるからね...」
    うーん、逃した魚はいつでも大きい。

    時間はすでに午後2時すぎ。約束の時間まではもう1時間程度しか残ってない。
    帰りがけに再度トローリングすることにし、グルクン釣りに変更。
    まずは、コマセかごは空のまま船頭が仕掛をおろし水深を確かめる。OKがでてアンカーを降ろす。と同時に船頭にあたり。リールを巻く手が瞬間止まった。竿をためながらやりとりしている。仕掛はグルクン用スキンサビキ(ほとんど小アジのサビキみたい)の5本針。もちろん針も小さいもの。
    「あっ、だめだ」の声で仕掛をあげた。10cmくらいのオジサンが3匹。良くみると真ん中にぶら下がったオジサンの腹の皮がはがれ、噛跡がついている。
    「かかった魚になんかくいついたんじゃろ」
    船頭はそういうと例のペットボトル仕掛に今釣れたオジサンを背掛けにし落としていった。私もアミコマセを詰め第一投。底立ちを取り糸ふけ分を巻いてくるとすかさずあたり。小魚の軽いあたりだけれどもこれが宮古での沖釣り最初の獲物。楽しみながら巻いてくると赤い魚が2匹。15cmくらいのオジサンと同サイズの真っ赤なミーバイ。
    ミーバイとはハタ科の魚の名前の総称。沖縄は魚の種類も多いので名前も大ザッパだ。根魚系はみんなミーバイ、平アジ系はみんなガーラ。タイ(フエフキ)みたいな魚はみんなタマン、こんな感じだ。
    2匹をリリースする。紺碧の海に帰っていく赤色がとても美しい。
    続けて2投目。底立ちをとり、1Mほど巻き上げ、2、3度コマセを振る。ほどなくアタリ。こんどは先ほどより重量感のある引き。ハリスサイズを考え慎重に巻いてくる。あがってきたのは25cmくらいの白タマン。「それは投げんといて」の声でキープ。
    背中側で釣っていた船頭に本命グルクンの3点掛け。どうやら群れがよってきたようだ。私にもグルクンの一荷。隣にいた船頭が「それがグルクン。沖縄の県魚だよ。」と声をかけてくれた。赤、青入り交じったいかにも南国の魚だ。
    それから入れ食い状態が続く。ハナダイやメバル狙いの時のように追い食いさせるようにして釣った。2、30匹くらい釣ったかなといったころ、まゆげさんが釣ったばかりのグルクンを刺身にしてくれた。酢醤油をかけて食べるのがご当地風らしい。当然ながらウ・マ・イ!グルクンを釣りながらグルクンを頬張る至福の一時がしばらく続いた。

    時間は5時ちょっと前。約束の時間はとうに過ぎている。前半のトローリングがノーヒットに終わったため皆気を遣ってくれる。
    「船底さん、時間は大丈夫?奥さん心配してるんじゃない。」船頭がいう。
    「私は問題ないです。カミサンのほうも電話すれば大丈夫。皆さんのほうはいいんですか。」と私。
    「じゃあ、6時までもう1回トローリングで流してから帰ろう」船長の一声で方針決定。

    再びトローリング開始。前半より沖側を蛇行周回するような感じで仕掛を流す。船長もなんとか私に1匹とらせようと必死に操船してくれている様子。
    「海も釣りもこーいうもんだ。釣れるときは釣れるし、釣れんときはなにやっても釣れん。」
    いつのまにか隣に座った船頭が私に話しかけるというふうでもなく呟く。
    「釣れなくても、もう十分満足させてもらってます。いつもとは海も空も全然違うし、今日は最高です。」と答える。
    時計をみる。17時45分。目線をヒコーキに戻す。
    「あれっ」うねりの影に消えたヒコーキがあげるしぶきが戻ってこない。と同時にリールがジジーと音をたて道糸がでていく。
    「喰ったー!」と大声で私。
    船が止まった。皆艫にいた私のところへ寄ってくる。ロッドホルダーから竿をはずし、巻き上げにかかる。波の抵抗とは違った別の重みが加わってる。
    「やったー!」
    「ラストチャンスだどー!」
    「サワラか!?」
    「この仕掛は30Kのやつでも大丈夫だぞ。ガンガン巻けー!」
    「遊ばせるな!ばれるぞ!」
    皆からさまざまな掛け声がかかる。 リールはメチャ重いものの少しずつ糸を巻き上げてくる。
    船縁まで魚が寄った。カツオだ。おもわず見とれてしまう。
    「はよー、上げろ!バレたら終いだぞ!仕掛握って引っこ抜け!」船長が怒鳴る。
    我に返って、抜き上げる。
    「やったー、やったー!」
    「カチュオだー。」
    「写真、写真!」
    言葉のでない私以外、皆が歓声をあげる。皆の笑顔がとても嬉しい。
    「これどれくらいあります?」
    「5キロはあるじゃろ。小さくはないよ」と船頭さんが答えてくれる。
    「どうする?もって帰る?」船長がきいてきた。
    「うーん、ホテルもって帰ってもどうしようもないし...」
    「じゃ、いま捌こか。一番うまいカチュオたべよか。」
    「はい」
    まゆげさんがカチュオをもって胴のほうへいった。
    「刺身できるまでもう少し流すか?もういくらも時間はないけど」
    船長の言葉にウンと頷く私を皆が笑った。

    程なく特大タッパに山盛りの刺身をもったまゆげさんがやってきた。
    「さっさ、釣った人が一番箸。」とタッパを差し出される。
    大きな切り身をつまむ。
    「どう?うまいでしょ。」
    「...はい...」言葉にならないうまさ。
    釣ったばかりのそれは、魚肉というよりも厚切りの馬刺しや牛刺しのような動物の肉のようだ。隣にいた社長や船頭にこういうと2人ともうなずく。
    「どんどん食べて。こっちが、油カチュオで一番うまい腹身のほう。」
    まゆげさんが端によけてある切り身を指差す。
    こっちは、トロそのもの。操船している船長を除き皆で釣りたてのカツオを頬張る。

    「じゃあ、仕掛あげて。」船長の声がかかる。時間をみるともう7時前だ。来間島の向こうに沈んでいく夕日を眺めながら港へ戻る。
    「きれいだなー」と社長がいう。島に住んでる人さえそういってしまうほどの美しさ。
    港のある入り江のとば口まできたところで船長がエンジンを切り皆がいる艫へでてきた。
    「じゃ、今日の大漁を祝って乾杯しよー。」
    一升瓶の島酒をコップになみなみとつぎ、まずは船長から。今日はダメだと思ったけど最後の最後で1本でもきて良かったというようなことを話してから一気に飲み干した。コップを順々にまわしていく。皆が一言ずついいながら酒をあけていく。普段ビールばかりの私も今日1日のお礼の言葉とともに島酒をを飲みほした。一通りまわったところで港に戻る。

    「じゃあ、船長に料金払って。」と社長にいわれる。
    「こんなに延長してもらったのに本当に3万でいいんですか。」
    と社長に尋ねるとそれで構わないという。それでも今日の満足感から皆の酒代にでもと1万円余計に渡そうとすると社長にピシャリと断られた。私から3万だけ受け取ると社長はそのまんま船長に渡した。

    グルクンもカツオもまだたんまり残ってる。後片付けをする船長を残し、船頭、社長、まゆげさん、私の4人はすなかぎレンタカーに戻り、そこで今日の釣果を肴に飲む事にした。途中皆のすすめでホテルにいるカミサンに電話を入れカミサンと娘の春希も呼ぶことにした。

    軒先にゴザを敷き、船頭の奥さんや通りすがった漁師仲間の潜りタコ獲り名人を交え今日の釣果であるカツオとタマンの刺身、グルクンの空揚げと十六夜の月を肴に改めて祝杯をあげる。春希も生まれて始めての刺身を「パパ釣ったお魚おいちいねぇー」なんて嬉しいこといってくれながら何度も口にする。

    宮古には「おとーり」という酒飲みのしきたり!?がある。何人かで飲む時に、先輩や家族への感謝の気持ちや様々な想いなど自分なりの口上を述べてから一気グラスをあけて次の人にまわしていくという飲み方だ。
    社長が今日の出会いを喜んでくれている。来年は今回時間と予算の都合でいけなかったパヤオまで自分と折半で一緒にいこうといってくれた。
    即座に快諾。

    タコ獲り名人は、
    宮古の海と星とサトウキビしかないのんびりしたとこだが満足してもらえているだろうかか心配だという。私が今回で3回目の来島であること、来るたびまた来たくなるとこたえると嬉しそうな顔で何度もうなずいてくれる。

    おとーりが船頭にまわった。
    「船底さんは船にも釣りにもなれている。ちょっとみればすぐ分かる。」といってくれる。実際にはそれほどのものでもないので本物の海人にいわれるこういわれるととてもこそばゆい。

    私にもまわってきた。
    心のなかでは多分今回はトローリングは不発に終わるだろうと思う気持ちと最後の最後まであきらめるなという気持ちが交錯していたこと。最後の最後で1本あげられたのは、皆のお陰以外の何者でもないこと。最高の思い出をくれた船頭、船長、社長、まゆげさんそして宮古の海に感謝の気持ちを伝え島酒を飲み干した。

    [今回の釣果]
    トローリング:

      カツオ 5キロ ×1本
    サビキ:
      グルクン 20CM × たくさん
      白タマン 25CM × 1匹




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